糖尿病について
そもそも糖尿病って?
血液中のブドウ糖の濃度、すなわち血糖値が慢性的に高い状態にある病態を「糖尿病」と言います。血糖値が著しく高い状態であれば、のどが渇いたり、おしっこが多く近かったり、体重が落ちていったりしますが、軽度であれば症状がないことがほとんどです。古来、血糖値を測定できなかった時代は尿が甘くなることで糖尿病と名付けられましたが、現在は尿糖の有無で診断はしていません。
なんで治療しないといけないの?
軽度であれば症状はほとんどない糖尿病。それでも血糖値が高い状態が続くことで次第にいろいろな病気を起こしやすくなります。これらの病気を総じて合併症と言います。
日本糖尿病学会のステートメントに、
糖尿病の治療目標は、高血糖に起因する代謝異常を改善することに加え、糖尿病に特徴的な合併症、および糖尿病に起こりやすい併発症の発症、増悪を防ぎ、健康人と変わらない生活の質( quality of life : QOL )を保ち、健康人と変わらない寿命を全うすることにある。
日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019
とあります。要するに、血糖値を下げることだけが目標ではなくて、糖尿病があることで困ることのない人生にしていきましょうというのが、私を含む糖尿病専門医の目標とするところです。
薬を飲めばいいの?
20世紀末あたりから、2型糖尿病の方に処方できる経口治療薬の種類は飛躍的に増え、1990年には2種類からしか選べなかった経口治療薬が、2022年には9種類まで増えました。
それだけあるのだから、薬さえ飲めばどうにかなるのではと思われがちですが、それではいたちごっこのように薬の種類を増やしていくことになりかねません。食事の内容に注意を払い、適度な運動に励んでいくようお勧めしています。
また、1型糖尿病をはじめ病態によってはインスリン注射を生きていくうえで必須とする方がいるのも事実です。ライフスタイル、病気の程度、種類は人それぞれです。その人に合った治療法で、一日でも長く健康に過ごせるようサポートしていきます。